子どもに愛情を持てない?そんなあなたへできること
子育てに悩んでいる方へ、まずは心から「お疲れさま」と伝えたいです。
親であっても、子どもに対して自然に愛情が湧くとは限りません。
日々のストレスや疲れ、ご自身の過去の辛い経験や、期待とのギャップが愛情を感じづらくさせることもあります。
それは、決してあなたが悪いわけではありません。
それを感じていること自体が、今あなたが一生懸命向き合っている証拠だと私は思います。
無理に愛情を持とうとせず、まずは自分の感情を大切にしてみてください。時間が経つにつれて、少しずつ余裕ができたり、違う形での愛情が生まれることもあります。
誰でも子どもを育てるのは簡単ではありません。
「どうしても子どもを可愛いと思えない…」
「愛情を持ちたいのに、うまくいかない…」
そんな悩みを抱える親御さんは、実はたくさんいます。
この記事では、無理に愛情を押し付けるのではなく、少しずつでも子どもとの絆を築ける方法を提案します。
子育ては本当に大変。まずはその現実を認めよう
子育ては、周囲からのプレッシャーも含め、想像以上に大変です。
「子どもが何を考えているのかわからない」
「何度言っても言うことを聞かない」
「周りの家庭と比べて、子どもに愛情を注げていない気がする」
と感じていませんか?
これだけのストレスや悩みが重なれば、愛情が持てないのも無理はありません。
それなのに、「どうして愛情が湧かないんだろう」と悩んでしまうのは、自分に対して厳しすぎるかもしれません。
なぜ愛情が子どもにとって大切なのか
子どもにとって、親の愛情は生きていくための大きなエネルギー源です。
「自分は大切にされている」と感じる経験は、将来の自己肯定感や社会での適応力に深く影響を与えます。
子どもは親からの愛情を通して、自分に自信を持ち、困難に立ち向かう力を育てていくのです。
しかし、現実には「愛情を持てない」と感じてしまう親御さんも多くいます。
その場合、「どうしても愛せない自分」を責めるのではなく、少し違ったアプローチを試してみましょう。
愛情を持てない代わりに、何ができる?
無理に愛情を感じようとするのではなく、まずはできることから始めてみませんか?
愛情を表現する手段は、必ずしも「愛している」と感じることだけではありません。ここでは、愛情の代わりにできることを つに分けてお伝えしますね。
1.言葉で伝える
言葉は上手く使えば最大の武器です。
「ありがとう」「頑張ったね」など、感謝や労いの言葉をかけてみることはどうでしょうか。また、出来ることなら、「大切だよ」「好きだよ」という言葉もかけてあげられるとベストですね。
まずは出来る言葉かけにチャレンジしてみましょう。
2.スキンシップをとる
ハグや手を繋ぐ、頭を撫でるなどは、子ども安心感を高めるのに有効です。どうしても苦手だという人は、例えば爪を切る。髪を乾かしてあげるなど、少し肌に触れる機会を作ってみると良いと思います。普段やってこなかった方にとっては少し照れくさい部分もあるかもしれませんが、かなり効果的な手段だと思うのでぜひトライしてみてください。
3.一緒に過ごす時間を増やす
一緒に遊ぶ、買い物や散歩に出かける。食事を共にするなど、同じ時間を共有することも愛情を感じさせる有力な方法です。
子どもとの質の高い時間を意識して作り、喜怒哀楽を共にすることでお互いのことを理解できるはずです。
4.サポートや助け
何か子どもが困っていること(宿題や人間関係等)を助けてあげたり、失敗しても励ましたりすることで、親への安心感が高まります。また、絆としての深まりも期待できるため、是非何か先読みして大人の方から声をかけてあげてみてください。
児童福祉の分野では、大人から「あなたのことをいつでも見守っているよ」というメッセージが伝わるように子どもからの発信ではなく大人が先に気づいてあげることを意識しています。
5.プレゼントや手紙
誕生日やその他特別の日や、仕事帰りに持って帰ってきたケーキなど、親からの小さな贈り物は形として思い出に残りやすく、また良い時間を過ごすためのツールになり得ます。
また、手紙は普段言えない気持ちを表現できる為、有効的です。施設で生活する子達も、なんだかんだで手紙は大切に保管している子が多いですね。
6.行動で示す
毎日の生活の中で、小さい気遣いやサポートを繰り返すことで、愛情を伝えていくことができます。
例えば、身の回りの家事、炊事を毎日やってあげたり、おもちゃを一緒に片付けるでも良いです。何か子どもに協力したり、安心して生活できる空間を維持してあげたりすることが大切です。
7.理解と許し
相手の失敗やミスを受け入れて、優しく接することで愛情を示すことができます。完璧でなくても良いと伝えることは、深い愛情の一環です。
私自身、施設で生活する子と我が子の生活を見てきてやはり許されることに差があるように感じます。施設では、集団生活であるがゆえに、ルールが明確にされており、ルールを破ったら注意を受けることが多くあります。その際にも、きちんと子どもの理解を示し、最後にはきちんと許して終わりにするということが大切だと考えています。
8.聞き手になる
子どもの行動には必ず理由があります。
例えば
お友達のおもちゃを取った → 羨ましかったから
親を叩いてきた → 遊びたかったから
床に落書きした → 楽しそうだと思ったから
子どもの理由なんてその程度のことですが、子どもなりの理由があります。
やった事実だけ見たら注意すべきこともありますが、大切なことは、ちゃんと子どもの話を最後まで聞くことです。
その後に、やったことはいけないが、他にこういう正しい方法があるんだよということを教えてあげてるといいと思います。
また、注意場面だけではなく、学校から帰ってきて「今日どうだった?」と一言聞くことも良いでしょう。親にたくさん話を聞いてもらえたという経験はとても大切です。
小さな行動が、後から愛情に変わる
正直、先に述べたことを全てできた時点で子どもに愛情を持てています。
というか、ほとんどの親御さんは全てはできていないはずです。どこかできない部分があったり、夫婦や親族で協力して役割分担していたりと、一人で出来ている人はまずほとんどいないでしょう。
実は、「何かをしてあげたい」という気持ちそのものが愛情です。
無理にご自身が「私は子どもを愛しているのか」と考える必要はありません。小さな行動を積み重ねていくことで、次第に親子関係が深まり、後から愛情が芽生えてくることもあります。
例えば、「今日は子どもと一緒に公園に行ってみようかな」「ちょっとしたおやつを一緒に食べてみよう」といった小さなアクションから始めてみてください。
その結果、子どもが喜んでいる姿を見て、少しずつ「嬉しい」と感じる瞬間が増えてくるはずです。
今、この瞬間から変わるチャンスがある
愛情を持てないと感じるあなたでも、今この瞬間から変わるチャンスがあります。
この記事を読んでいるあなたは、すでに何かを変えようと考えているはずです。
そんなあなたには、できることがたくさんあります。
そんな小さな行動が、親子関係を少しずつ変えていくきっかけになります。焦らず、ゆっくりと、自分のできるペースで進んでみてください。
〜最後に〜
私達児童養護施設職員は、虐待を受けて辛い経験をしてきた子どもたちの生活支援をしています。過去の話を聞くと壮絶なことばかりで、聞くだけで心が痛みます。そんな子どもたちを世の中から一人でも多く減らしたい。そして困っているのは子どもだけではなく大人だってそうだった。そういった事実にも目を向けながら、世の中全体で支えていけたらという願いです。