最近、妻と喧嘩が増えた。
顔を見るだけでイライラする。
普通に話しているつもりなのに、いつの間にか言い合いになっている。
何か特別なことがあったわけじゃない。
ただ、言葉を交わす。
それだけで喧嘩になる。
「もう、難しいんじゃないかな」
そう思うことがある。
でも、そんなときにふと思った。
「自分は頑張っている」と思うことにも、何かバイアスがかかっているんじゃないか。
「俺は頑張ってる」は、本当に間違っているのか
結論から言えば、
自分が頑張っていると感じることは、決して間違いではない。
実際に頑張っていることもある。
仕事をして、家に帰って、子どものことをやって、家事をして、妻のことも考える。
疲れていても動く。
言いたいことを飲み込むこともある。
「これくらいやっているんだから、分かってほしい」
そう思う。
でも、ここに夫婦の難しさがある。
自分の頑張りは、自分にはよく見える。
「今日は仕事が大変だった」
「眠かったけど子どもを見た」
「本当は腹が立ったけど我慢した」
「妻が大変だから、自分なりに支えた」
自分は、その全部を知っている。
でも、相手にはその全部は見えていない。
逆も同じだ。
妻にも、妻にしか分からない頑張りがある。
だから、
「自分は頑張っている」と「相手も頑張っている」は、同時に成立する。
それなのに、どうして喧嘩になるのか
たぶん、夫婦喧嘩が苦しくなるのは、
「どっちが頑張ったか」
を競い始めるからだと思う。
「俺だってやってる」
「私だってやってる」
「俺の方が我慢してる」
「私の方が大変」
こうなると、夫婦なのに、いつの間にか採点競技になる。
自分は70点。
相手は30点。
そんなふうに、お互いを評価し始める。
でも、家庭に点数なんてつけられない。
子育ても、家事も、仕事も、精神的な負担も、全部を数字にはできない。
だから、
「自分の方が頑張っている」という感覚だけで、相手を評価してしまうと危険なんだと思う。
さらに怖いのは、「嫌なところ」ばかり見えること
喧嘩が続くと、相手の一言が気になる。
「またその言い方か」
「なんでそんな言い方するの?」
「結局いつもこうなる」
「前もそうだったよね」
すると、相手の行動を見るときに、
嫌だったことを探すようになる。
普通にしていることは、あまり記憶に残らない。
でも、嫌な一言はずっと残る。
そして、その一言をきっかけに、過去の喧嘩まで蘇ってくる。
「そういえば、あのときも……」
こうなると、目の前の喧嘩をしているのではなくなる。
過去の喧嘩全部と戦っているような状態になる。
そうなったら、何を言っても噛み合わない。
「俺は頑張ってる」を疑うことは、自分を否定することじゃない
ここは、自分自身にも言い聞かせたい。
「自分は頑張っている」
そう思っていい。
ただ、
「自分の見えている頑張りが、全部ではない」
ということも、一緒に持っておきたい。
例えば、
「自分は子どもの面倒を見ている」
これは事実。
そこから、
「だから妻より頑張っている」
になると、それはもう「事実」ではなく「評価」になる。
この二つを分けるだけでも、少し冷静になれる。
自分がやったことは、ちゃんと認める。
でも、相手の頑張りを否定する材料にはしない。
じゃあ、どうすればいいのか
僕は、夫婦喧嘩をしているときほど、
「どっちが正しいか」から離れる必要がある
と思っている。
そして、3つの視点を持ちたい。
①「俺は頑張っている」を認める
まず、自分を否定しない。
「今日もよくやった」
そう思っていい。
我慢したことも、頑張ったことも、自分だけは知っている。
②「相手にも見えていない頑張りがある」と考える
相手のことを全部知っているわけじゃない。
だから、
「妻は何もしていない」
ではなく、
「俺が見えていないところで、何か抱えているかもしれない」
くらいの余白を残しておく。
③「正しさ」ではなく「関係」を見る
夫婦喧嘩で勝っても、家庭が良くなるとは限らない。
正論を言って相手を黙らせても、
「もう話したくない」
と思わせたら、関係としては負けなのかもしれない。
だから、
「俺が正しいか」
ではなく、
「この言葉を言ったあと、俺たちは少し近づくのか、それとも遠ざかるのか」
を考えてみる。
もちろん、「全部自分が悪い」わけじゃない
ここも大切だと思う。
夫婦関係が壊れそうになると、
「自分にも悪いところがあったんだ」
と考えることは大切。
でも、
「だから自分が全部悪い」
にする必要はない。
相手にも傷つけられた。
自分にも傷つけたところがある。
相手にも頑張ったところがある。
自分にも頑張ったところがある。
たぶん、夫婦ってそんなに単純じゃない。
白黒をつけようとするから、余計に苦しくなる。
「もう無理」なのか、「今のままでは無理」なのか
顔を見るだけで喧嘩になる。
話をすれば言い合いになる。
そんな状態になると、
「もう夫婦として無理なんじゃないか」
と思ってしまう。
でも、本当は、
「このままのやり方では無理」
なのかもしれない。
そこは分けて考えたい。
二人だけで話しても喧嘩になるなら、少し距離を置く。
必要なことだけ話す。
第三者に入ってもらう。
夫婦カウンセリングを使ってみる。
「仲良くしなきゃ」と焦らない。
まずは、
普通に話せる状態を取り戻す。
それだけでも十分なのかもしれない。
夫婦関係に正解があるとしたら、
「どちらがより頑張ったか」ではないと思う。
「どちらが正しかったか」でもない。
たぶん、
二人とも頑張っていたのに、二人とも相手の頑張りが見えなくなっていた。
そんなことだってある。
だから、自分にこう問いかけてみたい。
「俺は頑張っている」
その次に、
「でも、俺には見えていない相手の頑張りもあるかもしれない」
と。
そして相手にも、
「あなたも頑張ってるよね」
と伝えられる日が来たらいい。
もちろん、すぐには無理かもしれない。
今は顔を見るだけで腹が立つかもしれない。
それでもいい。
まずは、
「自分の頑張りを認めながら、相手の頑張りも否定しない」
そこから始めればいいと思う。
夫婦は、勝ち負けを決める相手じゃない。
本当は、同じチームだったはずだから。
