子どもへの注意が先行してしまう方へ:親としてどう向き合うべきか

児童福祉

子どもは大切で、もちろん愛している。

それでも、つい怒ってしまったり、注意をすることが先行してしまう

そんな悩みを抱えている親御さんは少なくありません。

今回は、そんな親御さんに向けて、子どもに対しての接し方や自己理解、そして長期的な子どもの成長に向けた視点について考えていきます。

結論

優しく接することは甘やかしではない

必要な時にしっかり厳しくすること

の理解が大切です。

ただし、注意や叱責が先に立つのではなく、まずは自分を理解し、子どもを深く理解することが、より良い親子関係と長期的な子どもの成長に繋がります。

自分を知る:親としての自己理解がカギ

まず、自分がどんな親であるか、どんな性格や特性を持っているのかを理解することが重要です。

育児において、親自身の性格や感情が子どもとの関わり方に大きく影響します。

以下の点を振り返ってみてください。

  • 自分が何に反応しやすいか?
  • どんな場面で注意が増えているのか?
  • その時、自分のストレス状況はどうか?

たとえば、私自身も、基本的には子どもに甘いのですが、大きな声や物音が苦手です。

どもが泣きじゃくったり、大声で室内を走り回ったりするのを見るのが苦手で、最初は「やめようね」と優しく伝えるのですが、繰り返されるとストレスが溜まり、注意が増えてしまいます。

このような状況に気づくことで、

私は自分が苦手な場面では家庭では妻に、

施設では他の大人に頼り、

場を離れるなどの対策を講じています。

親が変化する

子どもが変わるのを待つよりも、まず親が自分の反応や行動を少しずつ変えることが大切です。

これは、親自身が成長するためのステップでもあります。

自分の性格やストレス要因を理解し、少しでも前向きに改善できるように取り組んでみましょう。

子どもを知る:子どもは大人とは違う存在

次に大切なのは、子どもという存在を理解することです。

皆さんも、子どもの頃に大人に叱られた経験があるかと思います。

そんな時、どんな気持ちだったでしょうか?

怒られた理由が分からず、むやみに反発したり、高圧的な大人に対してはただ怖かったという記憶がある人もいるのではないでしょうか。

私が考える子どもと

・基本的に周囲を気にしない(できない)

自分が楽しいと思ったことを優先して行動する

と、考えています。

そのため、

結果として

危ない行為に発展したり、

誰かに迷惑をかけたりしてしまうのです。

それは彼らがまだ周りの状況や未来を考える力が発達していないから

だということです。

たとえば、子どもが楽しそうに遊んでいる時に急に叱られると、子どもは何が悪かったのか、何がいけなかったのか分からず戸惑います。

それが続くと、子どもは恐怖を感じるようになり、周りの目を気にして、自分のやりたいことや言いたいことを表現できなくなります。

こうして、自主性や主体性が抑制される恐れがあるのです。

子育ての常識は変化する

私たち大人が受けてきた子育ての影響も、子どもへの接し方に大きく影響します。

「自分がこう育ったから、この方法が正しい」という考えが根強く残っていることがありますが、それが今の子どもにとっても有効であるとは限りません。

時代が変われば、子育ての方法もアップデートする必要があるのです。

私達平成初期、昭和の世代は厳しく育てられる事はそんなに悪いこととはされてきませんでした。

しかし、時代と共に過度に感じられるしつけは虐待や体罰に値することも増え、それは客観的な目線でしか判断がつかない場合も増えたと思います。


厳しさと優しさのバランスをアップデートする

厳しくするべきポイントを明確にする

厳しさが必要な場面を見極めることは重要です。

子どもが危険な行動を取っている時や、他人に迷惑をかける行動をしている場合、時には厳しく注意することが大切です。

しかし、その厳しさも怒りに基づくものではなく、冷静にルールを教える形で伝える必要があります。

具体的には、子どもが道路に飛び出しそうになった時など、安全に関わることでは厳しく対応するのが必要です。

こうした場合は短くシンプルな言葉で、「ここは危ないよ」と冷静に伝え、理由を説明することが効果的です。

安全や他人に対する思いやりを教えることは、子どもにとって重要な学びです。

優しさとは甘やかしではない

親が優しく接することは、決して甘やかしではありません。

子どもが安心できる家庭環境を作るためには、親が子どもに対して愛情深く、共感的であることが求められます。

優しさとは、

子どもの感情や求めている事を理解し、寄り添う姿勢を持つことです。

私自身は、子どもが間違ったことをした時こそ寄り添いの努力が必要だと思っているので、以下のことを意識しています。

子どもが失敗したり困難に直面した時には、すぐに厳しく叱るのではなく、まずは共感的な対応を心がけてみる。

例えば、子どもが泣いてしまった時には「泣いてもいいんだよ、どうしてそんなに悲しかったの?」と問いかけることで、子どもは自分の気持ちを言葉にできるようになります。

優しさによって子どもは自分の感情を理解し、安心感を持って成長できるのです。

一貫性を持つことの大切さ

厳しさと優しさを適切に使い分けるためには、一貫性が重要です。

時々厳しく、時々優しいといった対応では、子どもは何が許されていて、何が許されていないのかを混乱する。

親の対応に一貫性があれば、子どもはルールや期待される行動を理解しやすくなります

例えば、ルールを作ったら、それを一貫して守ることが大切です。

「今日は疲れているからいいか」といった対応は避け、できるだけ同じ基準で対応することを心がけましょう。


怒りに頼らず、子どもと向き合う方法

子どもに「選択肢」を与える

子どもが何か問題行動をしたとき、私たち大人はつい一方的に「やめなさい!」と命令口調になってしまいがちです。

しかし、これでは子どもは自分の行動を正そうとするモチベーションを持ちづらくなります

そこで有効な手法が

「選択肢を与える」こと

です。

例えば、宿題をやりたくないといっている場合、

親

今宿題しておやつを食べるか、おやつ食べて落ち着いてから宿題やるかどっちがいい?

と聞いてみるといいでしょう。一例ですが、おやつに限らず、子どもの好きな時間を提示するのが効果的です。

こうしたアプローチにより、

子どもは自分の意思で行動を選び、結果として自発的な行動修正が期待できます。

また、子どもに選択肢を与えることで、自分で考えて行動する力が育ちます。

親からの命令に従うのではなく、自らの選択に基づいて行動を起こすことが、将来の自主性や主体性の発展につながります。

感情を冷静に整える時間を持つ

注意をしなければならない場面では、

まず一度冷静になる

ことをおすすめします。大切なのでもう一度言います。笑

まず一度冷静になろう!!

怒りや焦りに任せて言葉を発してしまうと、結果的に状況を悪化させることがあります。

親が冷静さを保つことで、子どもに安心感を与え、対話の質も向上します。

たとえば、子どもが感情的に泣き叫んでいるときは、すぐに反応せず、一呼吸置いてから対応します。

これにより、親自身が落ち着いて行動でき、子どももその姿勢を見て気持ちを落ち着かせやすくなります。

また、親が感情を整えるためには、日常の自己ケアも大切です。

ストレスが溜まっていると、冷静に対応できなくなることが多いので、リラックスできる時間を意識的に持つようにしましょう。

親の完璧主義を手放す

子育てを完璧にこなそうとすることが、かえって自分にプレッシャーを与え、子どもに対して余計な苛立ちやストレスを感じてしまう原因になることがあります。

自分の親としての役割や能力に対して過剰な期待を持たず、「不完全でも大丈夫」という考え方を持つことが重要です。

また、子どもに対しても同じです。

子どもが完璧である必要はなく、失敗すること、間違うことは成長の一部です。

親自身がその姿勢を取ることで、子どもにも同じ価値観を伝え、共に成長することができます。

長期的な視点での子どもの成長を見守る

ここまで述べてきた内容を通して、最も大切にしてほしいのは

長期的な視点で子どもの成長を見守る

ということです。

日々の育児では、小さな問題やストレスが積み重なり、すぐに解決しなければならないように感じることが多いかもしれません。

しかし、子どもは時間をかけて少しずつ成長し、その過程でたくさんの学びや経験を積んでいきます。

目の前の問題に一喜一憂するのではなく、将来を見据えて、今の行動や対応がどのように子どもの成長に繋がるのかを意識することが大切です。

自己肯定感を育てる

自己肯定感を高めることは、子どもの長期的な成長において非常に重要な要素です。

自己肯定感が高い子どもは、失敗を恐れずに挑戦し、困難に直面しても乗り越える力を持ちます。

そのためには、日常の中で子どもを具体的に褒めることが大切です。

例えば、「自分で靴を片付けたね、えらいよ」と具体的に言葉にして伝えることで、子どもは自分の行動を理解し、自信を持ちやすくなります。

長期的視点で育む「非暴力コミュニケーション」

親としての役割のひとつに非暴力コミュニケーションの実践があります。

それは、対話において相手の気持ちやニーズを理解し、お互いが尊重し合いながらコミュニケーションを取ることを指します。

例えば、子どもが感情的になっている時に

「なんでそうするの!」と叱るのではなく、

「あなたはどうしてそのように感じたの?」と、

子どもの感情に焦点を当てて対話を進めます。

このようなアプローチにより、子どもは自分の感情を理解し、次にどうすれば良いのかを自分で考えることができるようになります。


まとめ:自分を知り、子どもを知り、未来を見据えた子育てを

怒らずに、注意ばかりが先行することを防ぎ、より良い親子関係を築くためには、

自分を知ること

子どもを理解すること

長期的な視点で子育てをアップデートすること

が必要です。

私たち親が子どもを導く際に、感情的にならずに冷静に対処する方法を身につけることで、子どもは自己肯定感を高め、主体性を持って成長することができます。

子育てにおいて、怒りに頼るのではなく、子どもとともに成長することを目指して、今から少しずつでも変化を取り入れてみてはいかがでしょうか?

短期的な視点ではなく、子どもの未来を見据えて、優しさと厳しさのバランスをとりながら、親としての役割を果たしていくことが、より良い親子関係のカギとなるでしょう。